森田理論は、日常生活を送る中で起こる、さまざまな強い心配や不安、ささいな出来事で起こる不快な感情など、神経症に悩む方の症状の奥底にある不安について、それを異常な感情とは捉えず、人間として誰にでも起こりうる感情であると考えます。

さらに森田理論では、強い心配や不安、不快な感情などを、逆の視点から見ます。

それを簡潔に言いますと、「生の欲望」という、もっとより良く自分らしく生きたいという、本来人間が持っている欲望が強ければ強いほど、それとは逆に「死の恐怖」から神経症が発症し、さまざまな強い心配や不安、不快な感情などに意識が集中し、それに捉われてしまうことによって、神経症が形作られていくのだと考えます。

森田理論では、心配や不安、不快な感情に意識を集中することや意識で取り除くことをせず、心に引っかかる症状を「あるがまま」に受け入れること。そして、「不安の裏側」にあるより良く生きようとする「生の欲求や欲望」を、「気分本位」ではなく「目的本位」で行動することを重視し焦点を当てます。

つまり、症状の悩みや苦しみがありながらも、無理をせず自分に今できることは何かを理解し、それを一つ一つ「目的本位」でおこなっていくということです。

自分自身の「夢や希望」「自分らしさ」「自分らしい生き方」に気づくこと。そして、その目的のために丁寧に日々の生活を送ること。それが森田療法の目指すところではないか。と、私は自分自身の経験からそう思っています。